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ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ -ア・トライブ・コールド・クエストの旅-(2011年/アメリカ) ネタバレあり感想 グループの成功と栄光、そしてメンバー達の確執を描いたドキュメンタリー。

 

ヒップホップグループ"A TRIBE CALLED QUEST"の過去と現在(2010年当時)を追ったドキュメンタリー映画

学生時代にアップリンク渋谷っていうカフェが併設された良い感じの映画館へ観に行った思い出があります。

 

『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ -ア・トライブ・コールド・クエストの旅-』

(Beats Rhymes & Life: The Travels of a Tribe Called Quest

ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~ (字幕版)

ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~ (字幕版)

 予告:

youtu.be

 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

概要

メンバーたちの出会いからグループ結成と成功、そして殆ど解散状態になっていた2010年当時までのATCQの姿と、彼らがヒップホップ界隈に与えた大きすぎる衝撃を、生々しさ満載で記録したドキュメンタリー。

 

感想

90年代のヒップホップ、界隈ではこの時期をGolden Ageと呼ぶ事があります。

今ではBOOM BAPと呼称される、サンプリングしたループ素材に骨太なキックとスネアを乗せる特徴的なサウンドは、この時代に多くのトラックメイカーが研究し昇華させました。

そして多くのグループがヒットソングを生み出した時代です、現在のヒップホップの基礎が確立された時代でもあります。

そして東西の対立が激化していたのもこの時代です。

トゥパック・グレイテスト・ヒッツ

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  • 発売日: 2014/10/13
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Greatest Hits

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  • アーティスト:Notorious BIG
  • 発売日: 2007/03/20
  • メディア: CD
 

 

そんな中、特に90年代前半、ギャングスタラップが主流であったヒップホップ界隈に、カジュアルなスタンスとリリック、そしてスタイリッシュなファッション性を持ち込んだネイティブタン一派の登場と共に、ニュースクールヒップホップが形成されていきました。

ネイティブタンを端的に言い現すなら近所の兄ちゃん達の仲良しグループみたいなイメージでしょうかね。

 

A TRIBE CALLED QUESTATCQ)はそんなネイティブタン一派を代表するヒップホップグループのひとつです。

個人的にはニュースクールそのものを形容するグループだとすら思っています。

ATCQの成功が無ければ、ギャングスタラップが主流であった西海岸からザ・ファーサイドみたいなスタイルのグループが出てくる事も無かったと思いますし。

Bizarre Ride 2: The Pharcyde

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  • アーティスト:Pharcyde
  • 発売日: 2001/03/20
  • メディア: CD
 

 

もちろんデラソウルであったり、ブラックシープやジャングルブラザーズなんかの、脇を固める強いグループは他にもたくさんいますが、ATCQのもたらした影響ってかなり濃いと思うんです。

このドキュメンタリー映画では、そんなATCQの齎した影響の色濃さを改めてしっかり描いていました。

MCの声のバランスとマイクリレーのスタイル、そして主張より会話に近いリリック(歌詞)の多さなどといった、ニュースクール的なイメージそのものの源流をしっかり再確認できます。

ある種のアイコン的な観られ方もするでしょうし、実際そういう存在でもあるんですが、ドキュメンタリーとして、2011年当時活躍していたヒップホップアーティスト達のインタビューや裏話なども踏まえて見てみると、やっぱりその影響力には驚かされます。

LOW END THEORY

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そういった輝かしい功績や偉大さを再確認できる一方で、ATCQというグループの負の側面をしっかり追っているドキュメンタリーでもありました。

これは正直、観た当初はかなり個人的にショックだったんですよね。

Q-TIPとファイフが不仲になっていた事も知りませんでしたし、ファイフが病気に悩まされていた事も知りませんでした。

ファイフは16年に糖尿病で亡くなってしまいました。これは本当に悲しかった。

 

僕は国内外問わず、ヒップホップはリリックの内容よりも、トラックとラップのスタイル、フロウの気持ち良さやカッコよさに惹かれるタイプです。

だからこそ、実はそもそもATCQ(だけでは無く聴いていた殆どのヒップホップグループ)が何言ってるのかなんて、大学生当時は全く意識していませんでした。

ただ、それでも伝わってくる雰囲気だけで、彼らのラップが攻撃性とは別種の魅力にあふれているものだとは認識できていました。そこもまたATCQの凄さだと個人的には思っていたりします。

 

当時よりも英語が理解できるようになった今あらためて彼らの曲を聴き、そしてファイフが亡くなってしまった今、改めてこの映画を観直すと、Q-TIPとファイフの確執には改めてショックを受けます、あんまり何にも知らなかった当時よりなまじ詳しくなってしまったせいか、二人の姿にはより心が痛みました。

 

それは一見するとMC単体で人気の高かったQ-TIPに対するファイフの嫉妬にも見えるんですが、二人の関係性を掘り下げた上で見てみると、Q-TIPも成功者としての自分に酔っている部分がしっかりと見えてきます。

グループの成功がメンバーたちの間に確執を齎すなんてよく聞く話ですが、それが友人達で結成され、その友人達のグループというスタイル自体がシーンそのものの主流にまでなったATCQというグループ内で実際に起きていた出来事だと思うと、なんとも言えない気持ちになります。

ファイフはもうQ-TIPに対してヘイトどころか怒り狂ってますからね。

Q-TIPはそれに対して、頭を下げるような姿勢も見せたりするんですが、このドキュメンタリー時点では二人の関係性は改善されてい無さそうなままなんですよね。

 

そんな彼らの関係性の変遷を知ったからこそ、確実に間違いなく友人同士としてヒップホップを楽しんでいたはずの、彼らの全盛期の楽曲には違った魅力や面白さが見えてくるような気もします。

youtu.be

Check The Rhime/A Tribe Called Quest 

 

 

個人評価:★★★★☆

ATCQのファンやニュースクールヒップホップが好きな人は、まず間違いなく観て損しない映画だと思います。

今改めて観てみると、20年現在のヒップホップシーンにすらATCQのスタイルや価値観の影響が残っている面に気づけたりして面白いです。

 

ひとつの時代を作ったグループのドキュメンタリー映画という基本構成ではあるので、ヒップホップファン以外の方でも「そんな連中がいたのか」的な方向性で楽しめると思います、オススメです。

 

 

この映画は下記の配信サービスで視聴できます。

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ではまた。

 

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