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インフィニ(2015年/オーストラリア) ネタバレあり感想 いや俺はこれハッピーエンドじゃない気がする

 

 SF脳がフル回転すると幸せな結末に待ったをかけてしまうのか。

 

『インフィニ』

(INFINI)

INFINI/インフィニ(字幕版)

 INFINI/インフィニ(字幕版)

予告:

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 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

ストーリー

外宇宙の彼方にある惑星インフィニで狂気のサバイバルが始まる。

 

感想

予算の関係か殆どのシーンでCGが用いられず、その結果いまのSF映画とは一味違った少し懐かしい雰囲気の、それはそれで良さがたくさんあった80年代SFのような雰囲気を醸し出している映画。

最近のスマートでおしゃれな最近のSF映画の背景美術造形物も好きですが、この映画みたいに古風なものも、また別種の味があって好きです。

2015年制作の映画、且つ作中世界も遠い未来を舞台にした映画なのに、モニターに映るプログラム画面や周辺機器がやたら古臭い点からしても、作り手側もある種の懐古っぽさを狙っている様に思います。

更に言えばSF的ないかにもな未来技術もたくさん登場します。

スリップストリームなる手法を用いてAPEX装置という機器によって人体や物質の転送が可能な世界であり、この転送技術が割としっかり物語のキーになっている点も好きです。

端的に言えば、SF愛が随所に感じられるSF映画っていう印象を受けました。

 

 

 

内容はコズミックホラーにかなり摺り寄せた遊星からの物体Xって印象です。

遊星からの物体X (字幕版)

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かつて開拓に失敗したらしい外宇宙の彼方にある惑星インフィニ。

そこから採れる可燃性の高い物質が実は生命の源そのものであり、来訪者がそれに触れる事で強力な感染力を持ち宿主を完全に乗っ取り凶暴化させてしまうウィルスのような性質を持っていました。

乗っ取るというのはつまり、宿主の組成を完全にコピーして入れ替わってしまうような、そういう性質なんだと思います。

本編ではそれを匂わす描写が何度も登場します。

 

 

 

本編では既に二次感染三次感染を得て、感染者の血液に触れた人は僅か数十秒から数分で感染し暴徒化してしまう段階から始まります。

インフィニに設置された基地を舞台にして、主人公と彼を救出しに来たチームが感染しながら殺し合うというシチュエーションが繰り広げられます。

 

正直、言われているほど悪くない内容だと思います。

インフィニでバトルロイヤルが繰り広げられる為の下準備と理由付けもしっかりしていますし、感染者の狂人っぷりは中々に魅力的です。

救出チームのキャラクターもそれぞれしっかり立っていますし、そんな彼らが血みどろの殺し合いを始める様は異様で、バトロワ系映画としてもしっかり楽しめました。

 

 

 

ただこの映画、ラストが中々攻めた展開をやっているんですよね。

主人公も感染しているんですが、彼は抗体でも持っていたのか映画終盤に至るまで完全に暴徒化する事はありませんでした。

しかし、最後の一人となった主人公は、惨劇の原因となった物質オーパスに対して「人の悪いところに目をつけたお前らの負けだ」的なメッセージを録音、ループ再生しながら腕を切り裂いて自害していまいました。

しかし、主人公の血液が流れ落ち、やがてそれらはオーパスと交わったようにも見え、死んだ救出チームを包み込んでいきます。

 

そして主人公は何故か蘇り、辺りを見れば殺し合っていた記憶を失いつつも全員生きているチームの姿が。

主人公はバトロワの記憶が残っているままっぽいですが、そんなこんなでみんな無事に地球に帰ることができて、ハッピーエンド。

表面的に観ればそういうラストシーンの映画なんですが、ちょっと待ってほしいです。

 

 

 

最初に書いたようにこの映画、並々ならぬSF愛が込められている映画です。

それはどちらかというと、SFそのものが特徴的に内包する小難しさや空想科学そのものに対する愛みたいに思います。

登場する物質オーパスの性質だったり転送装置APEXの原理だったり、実は作中でそれなりにしっかり語られています。

転送装置は簡単に言えば、ある座標から別の座標に、生体を構成する物質をそのままコピペするような、完全なワープでは無く複製に近いプロセスを踏むタイプのものでした。

オーパスの性質もまた、取りついた生命体の組成をコピーして、やがてその生命体そのものに成り代わる(と思われる)性質を持っています。

ラストシーンでは、主人公がインフィニの基地のある一角に目を向けると、オーパスが人の姿を象ったような存在が、主人公の大事にしていた写真を握りしめながら、地球に帰還しようとするチームを見つめているという意味深なカットが挿入されていました。

 

 

 

 

未だ人気の衰えないテーマのひとつに、自我や魂といった意識を成すものに関する問いかけ、というものがあります。

 僕はこの映画、実は裏側にこの意識に関する問いかけを、変則的な形で取り入れている様に思います。

簡単に言うとラストシーンの目覚めて以降の主人公達は、既に全員オーパスと入れ替わった状態なんじゃないかなって、僕はそう思いました。

目覚めて以降は、オーパスが自分の事を主人公だと思い込んでしまっている的な、そういうオチに見えます。

それは複製された意識は、自身を複製されたものだと認識できないのではないか?という、全く別ベクトルで話が長くなりそうな要素を持ち込んでいるように感じるんですよ。

 

ちょっと矛盾するんですよ、劇中の描写をストレートに捉えると。

地球に戻ってきたチームが、汚染物質にさらされてないか検査されるシーンに長く時間が使われている(しかも冒頭でもこのシーンは描かれています)点、事実として彼らはオーパス接触していたにも関わらず、検疫をクリアしている点、この矛盾は明らかに意図して挿入されたものだと思います。

そのものに成り代わるオーパスだからこそ、オーパスという物質の痕跡も無く無事にAPEX転送装置もそれらをチームの人間と認識して、地球に送り返してしまったオチ。

つまり、地球でのオーパスの爆発的な感染と凄惨な未来が待ち受けるトンデモ地獄エンドなんじゃないかと、僕は、思いました!!

ラストシーンのオーパスが形作った人のような存在が、実は本来の主人公達だったんじゃないかなって。

 

 

 

ただ、人体にダイレクトに埋め込まれているAPEX装置をどうやってオーパス複製人間が装着したのかという難所には答えが出せませんでした。

つまりこの映画はストレートにハッピーエンドってことか。あれ!?

 

 

 

 

個人評価:★★★☆☆

 

わざわざハッピーエンドじゃない!と言って、こんな長々と考察崩れの内容を書いた本当の理由は、それがこの映画の最大の魅力だと本当は思っているからです。

想像する余地があり、ストレートに楽しむ以外にも、様々なところに面白さが隠れているような、そういう隠れた名作感のある映画だと思うんですよ。

というより、そういうSF作品特有の世界観や設定に対する考察という面白さに目を向けさせてくれるような素敵な作りになっています。

 

僕はかなり好きな映画でした。

 

 

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ではまた。

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